石垣島旅行に対する疑問にお答えします

″商品造成会社″、つまりホールセラーでもあるJは、商品戦略と企画こそが命といえる。本当に「自分で金を出してでも行きたいか?」、これが、企画担当者が最終的に商品化する際の基準にしている言葉だ。
販売総数の95%は死守できるが、残り5%は戦略次第という浮動性をもっていた。ゾーンの獲得が、勝負の分かれ目といわれている。
Bの率いる商品戦略部門では、まず、商品造成に必要な6つの素材(食事、観光、斡旋、航空機、ホテル、ショッピング)を洗い直すことから始めた。しかし、どの素材をとっても、Jが自前で持っているものはない。
そこにオリジナリティーを持たせるのは、業界の構造から考えて至難のことだ。しかも、その困難な状況が、ますますの閉塞感を生んでいた。
「パワーブレイクさせるためには、オリジナリティーを自分たちでつくり上げよう」と、あえて挑戦の道を選んだ。これが、なぜ「挑戦」なのかというと、例えばパリの市内観光で、現地のランドオペレーターが、常に他社と競合しながら半日観光や1日観光のメニューをつくるとすれば、交通規制などの時間があるから、誰がつくっても同じようにパターン化してしまう。
サプライヤーがパターン化してしまえば、どの旅行会社を使ってパリへ行っても大同小異で、差別化どころではない。「現地のランドオペレーターは嫌がるだろうが、『ルックJ』のオリジナルを、あえてつくることに決めて挑戦したのだ」という。
品質を改善し、仕入れの方式も変えた。品質が良ければ高くても売れる。
効率を高めるためには、コスト削減も必要と考えた。そこで、プロダクトラインをすべて見直し、関連するコストを徹底的に削減した。

パンフレット作成の工程に無駄があると分かれば、元請けラインを簡素化し、制作、紙仕入れ、印刷などのすべてを直接発注に切り替えた。「電子パンフ」の導入で、ペーパレス化にも挑戦した。
そもそも多めに刷って、約20%が残され廃棄される運命だったパンフレットは、販売店のニーズを洗い出すことで、ロスを最小限に抑えられるようになった。仕入れの集中とコストの効率化で競争力を強化した結果、「ルックJ」の取扱いは急速に回復した。
国土交通省が毎年発表する「主要旅行業者50社の旅行取扱状況」をもとに(財)N社が推計した結果によると、Jが分社する前の2005年の「Jワールドバケーションズ」の海外旅行単体でのシェアは、第一位の旧J、第2位のH社、第3位のHに次ぐ。新聞広告と会報誌で取扱いを伸ばす阪急交通社と、直販、市中店舗で展開するH、さらにインターネットも追い討ちをかける中で、「年間130万人近くものルック参加者がいまもいる」ことに着目し、店舗網の強みを活かして、リテールサイドにも協力を要請した。
「ルックファン」とおぼしき、お得意様をリストアップして、各店舗が協力をして販売攻勢をかける策に打って出た。人気のベテラン添乗員を招き、ルック・オリジナル開発商品を武器に、「商品説明会」などを積極的に実施した。
「製」と「販」が一体となって取り組むことで、直販型の競争相手に真っ向から勝負をかけたのだ。企画の現場、商品造成の最前線に戻れたことをIは喜んだ。
社員一丸となって「ルック」再建に情熱を傾け、それを成功に導くことができた背景には、社員への徹底したモチベーションアップがあったことも見逃せない。「Jを、″本社の人だ″とか、″本体″と呼ぶな。
″Jさん″と言え」と徹底して諭し、自立心と誇りを促した。良い仕事をして良い成果を上げれば、必ず相応の評価、対価が得られるという言葉も、社員に常々投げかけた。
さらにIは、例年、全国を回り決算報告をした。あわせて社内表彰も各地で行って1年のJワールドバケーションズが設立された03年は、「ルックJ」の取扱いが30%減という過去最低の状況だった。

そのような中での船出だったが、IやBらとともに真の主役として「ルック」再生に取り組んだ約700人の社員たちは、明らかに戦闘集団へと変貌を遂げはじめていた。04年以降は順調に業績を伸ばし、07年6月に、Iは後任に社長の座を譲った。
新たなマーケットの創出「感動体験」という分野に挑戦する「Jグランドツアー&サービス」だ。駅がないところにも途中下車ができるニューヨークが発祥の地である紳士服専門店「P」は、アイビールックなどトラディショナルなファッションをいち早く取り入れた、団塊世代のステータスシンボル的な存在である。
その直営の路面店「P青山店」が、原宿・表参道のけやき並木にある。その空中階に、海外パッケージ専門店「J」ができたのは、2005年4月のことだ。
旅慣れていて、多様な噌好や趣味をもつ団塊世代から60歳代の「新シニア層」といわれる世代をターゲットに設立されたJのコンセプトショップで、社内ベンチャー企業だ。70年代に始まった海外ハネムーンの第一経験者でもあるこの世代は、出張や駐在など海外経験も豊富で、世界を舞台に飛び回るビジネスマンの先駆と言える。


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